「わたしあのせんせー苦手!!!」
場所は変わり、わたし達は地元のファミレスに来ていた。
寄り道するなとあのせんせーは言っていたけれど、女子高生が学校終わりに真っ直ぐ家に帰るわけがない。
ふん!見た目と声がかっこいいだけで、女心なんてまったく分かってないじゃないか!!
特に何をされた訳でもないのに、ユキヤせんせーを敵視するわたしだった。
「どしたの急に。」
「だってね!なんかあの人の声聞いてると、頭がぽやぽや~ってなって、よくわかんないけどドキドキして胸が苦しくなってくる!」
「…………。」
「絶対あの人わたしになんかした!!!」
「…楓、あんたって子は…。」
さっきまで心配そうな表情を浮かべていたのに、途端、冷ややかさを孕んだ目に変わる。
えっ。わたしなんか変なこと言った!?
なるちゃんは小さくため息をついてわたしのおでこをこつん、と小突く。
「前々からバカだと思ってたけど…。はぁ、なんて可哀想な子なの?」
「え?わたし可哀想なの?なんで?」
どうやら可哀想な子認定されてしまった。
何故だ。どうしてなんだなるちゃん!!!
お行儀悪く、メロンソーダをぶくぶくしながら自分が可哀想な理由を考える。
…………。
「何も思いつかない!!!」
やはりわたしはバカで可哀想な子らしい。
