入学式が終わって、なるちゃんと教室へ戻る。
さっきはすごくドキドキしたけれど、今では治まっていて。
一体なんだったんだろう。
顔を急に上げたからなのかな?
「ねーなるちゃん。」
「んー?」
「あのイケメンボイスの人誰。」
「は?だれ?」
わたしの言い方か、なるちゃんの理解力がないのかはともかくとして。
あの先生の名前を全く聞いていなかった。
わたしとしたことがー!!!オーマイガッ!
「あれだよ、えっと、声がイケメンで、見た目もイケメンな先生いたじゃん!」
「桜井 雪哉先生のこと?」
「そう!たぶんそれ!すごく良い!」
あんな絵に書いたイケメン、今までに見たことない。
ぽやぽや〜とした高揚感を惜しげもなく周囲にまき散らしているわたしを、なるちゃんは冷ややかな目で見つめてきた。
そんな熱視線で見ないで!なるちゃん!
「イケメンではあるけど…、あたしはタイプじゃないかな〜。」
「なるちゃんともあろう方がなんと!」
「あたしは男っぽい人が好きなの。」
たしかに。
写真で見せてくれる、なるちゃん好みの男の人はいつも筋骨隆々?とでもいうのだろうか。
色黒でムキムキな人が多かった気がする。
なるちゃんって、いつか外人と結婚しそう。
