「こっち見ろ、夏野。」
ユキヤせんせーのかっこいい声がすぐ側で聞こえたと思えば、アゴを掴まれて俯いていた顔を上げさせられた。
そして視界いっぱいに広がるのは。
うっとりしちゃうほど整ったせんせーの顔。
「ち、ちかっ、」
「ドキドキしたり、ふわふわしたりする意味。オレが教えてやってもいーけど。」
「………ほんとに?」
「おう。」
にっこり爽やかな笑顔を浮かべるせんせー。
そんな顔。
わたしをドキドキさせるだけなのに、分かっててやってるのかなこの人は。
本当にずるい。
「ほんとはオレが教えてやるより、自分で気付いた方がいーと思うけど。」
「??」
「その調子じゃ無理そうだしな。」
なにか意味深なことを呟いた気がしたけどよく分からない。
急なことに固まったままのわたしを他所に、ユキヤせんせーの顔がさっきよりも近づいてくる。
それも相手の吐息が分かるくらい。
もう何この展開!心臓破裂しそう!頭もパンクしそう!!
「明日からお前、特別授業な。」
「な、なんの?」
「そりゃ決まってんだろ。」
ユキヤせんせーは、今まで見たこともないような、素敵な笑顔を浮かべて。
そしてかっこいい声で言った。
「数学の授業しかねぇだろが、このタコ。」
