「そこ、座れよ。」
「…………。」
からん、と音がする。
その正体は多分ユキヤせんせーが咥えているであろう飴玉なんだけれど。
目の錯覚かな。タバコに見えるぞ…?
「なんで呼ばれたか分かるよな。」
返事すら出来ないような圧迫感。
ユキヤせんせーの正体って、悪魔だったんだ……。
なんて的外れなことを思いながら、ゆっくりとソファに座る。意外と柔らかい。
「お前、オレのこと嫌いなのか?」
「へっ!?そ、そんなことないですけど…。」
「ふーん。」
予想の斜め上からの質問にわたしは戸惑う。
たどたどしく答えるわたしの反応を楽しむかのように、せんせーはイヤな笑みを浮かべた。
「じゃあ、なんでオレの授業の時だけ、いっつも教科書とにらめっこしてんだ?」
「そ、それは……。」
ユキヤせんせーの顔と声を見聞きすると、ドキドキして授業どころじゃなくなるなんてそんなの言えるわけないじゃん!!
そんなの…、恥ずかしいじゃんか……。
ん?恥ずかしい?なぜ??
……そーだ!!
わたしが分からないなら、担任であるユキヤせんせーに直接聞けばいいんだよ!
