イジワル先生とわたし






小テストの問題数は、たった5問。


一週間習ったことのおさらいでもあるので、本来なら解けるはずなんだけど……。




「(全然わからない。何故だ。)」




確かに、ユキヤせんせーの声と顔のせいで授業なんかまともに受けれてないけれど、その代わり毎日教科書とにらめっこしてたのに!



残り時間あと3分。

小テストとは言え、一応テストなので教室の中は静まり返っていてカチ、カチ、と秒針の音がやたらと響いて聞こえる。



ど、どうしよう。


誰か助けてー!!!!




「そこまで。」

「え。」


3分ってこんなに早かったの…?


ユキヤせんせーのイケメンボイスが、残酷にもテスト終了を告げたのだった。


い、一問も解けてないのにぃい~~!!


後ろの席の人に回収されていくテスト用紙を涙ながらに見送るわたし。




「簡単な問題だから、全員解けたよな~?」




そう言って、ニコニコ笑いながら教室を見渡すユキヤせんせー。


その笑顔が今とっても怖い。

気のせいかもしれないけれど、黒い負のオーラが見えるのはわたしだけ…?




「な。夏野?」

「…ひぃっ、!」



思わず小さな悲鳴が漏れてしまった。