秋と二人で歩いた道を戻って、
気づいたらさっきまで秋と話してた屋上に着いていた。
大嫌いな春の風を感じながら空を見上げれば、
青い空に太陽が眩しく輝く。
あの光がもっともっと強ければいいのに。
全てが消えて見えなくなるくらいに強ければいいのに。
そうしてやっと、
私の目にあの光は届く。
涙が出そうになって、慌ててギュッと目を閉じた。
「…ッ…いたッ…」
その時、鋭い痛みが頭を襲った。
クラクラ、する。
遠くから、誰かの甲高い悲鳴が聞こえた。
…おかあ、さん?
体がグラッと傾く。
倒れる…。
そう思ってもなすすべもなく。
覚悟して、更に強く目をつぶる。
だけど痛みは無く、体を温かい何かが包んだ気がした。
お母さん…。
遠のく意識の中で、
私は必死に手を伸ばした。
