穏やかな風が吹く屋上で、 他愛もない話を楽しむ。 昨日のテレビが面白かったとか、 見た夢が怖かったとか。 本当にくだらないことばかりだけど。 それでも、楽しい時間だと思う。それなりに。 絶えない私たちの会話にも、 ふと沈黙は訪れる。 あ、来る。 心の中で思った。 何気なく秋を見れば、 熱を帯びた視線と交わって。 耐えられずそっと目を逸らした。 「ねぇ、ゆず」 耳に届く声はどことなく緊張していて。 「キスしてもいい?」 残酷な響きが頭の中でこだました。