記憶の波に呑み込まれそうなっている私を助けたのは、皮肉にも舞里だった。
「柚葉、来たよ」
ハッとして舞里の視線を辿れば、
そこにいたのは美形男子。
フワフワな髪、
真っ白な頬、
大きくて優しげな目。
是非とも女装してほしいぐらいの外見だ。
名前は、荒岡 秋。
私の、彼氏だったりする。
「ゆず、おはよう」
「あ、おはよう」
今日も相変わらず甘い顔で私に微笑む。
小さく微笑み返すと、
「じゃ、行くね舞里」
そう声を掛けて席をたった。
秋が来たら、一緒に屋上へ行く。
何をするわけでもなく、ただ喋るために行く。
毎朝の日課だ。
