「お守り、どれにするの?」


安堂くんはいつもの通りで、さっきのおみくじのことなんて気にしていないみたいだ。

でも、あたしの方が凄く気にしてる。


「赤とピンクがあるのかぁ~…、やっぱりここは赤、かなぁ」

「小林はどっちかってーとピンク、じゃない?」

「!」


こんな何気ない一言に、反応しちゃうくらい。


「そ、そーかなー?じゃあピンクにしようかな?やっぱりあたしって可愛い系ってやつ?」

「……ピンクだったよね。花柄パンツ」


(―――!!)


「安堂くんんんん…!!??」


ひょうひょうと無表情のくせに、言うことエロだし、意地悪だし。


「すみません、このピンクのお守り1つ下さい」


なのにそのくせ、どこか優しい、し。


「ほら。これ。付き合ってくれたお礼」

「~~~~~~、…ありがと」


どこが優しいって、パッと例えは浮かばないけど。

買ってもらったお守りを持って、神社を後にした。

もう夜の1時を回っていたけど、やって来る人達はまだまだ絶えなくて…。


「みーんな、そんなに叶えたい願い事があるのかなぁー?」

「小林の願い事よりはマシな内容なんじゃない?」

「なにっ!?」


本当、一言多い。


「何よ。安堂くんは、そんなにスバラシイ願い事をしたっていうの?」


唇を尖らせて、安堂くんを睨んだ。


「ああ、世界平和」

「うそつけ」

「学校であんまり告られませんよーに」

「まじウザ」


死んだ魚のような目で安堂くんを見た。

そこで安堂くんと視線がかちあう。


「…小林と今年も一緒にいられますよーに、って」


安堂くんがさらりと、そう言った。