「嫌。あたしは看病するために泊まってるんだもん!」

「それ、小林が勝手に決めたことだろ…!?」

「まだ熱あるのに、夜、熱が上がったらどうするの!?」

「もう、7度台に下がってたじゃん」

「それはあたしが泊まるって分かったからでしょ!?」


―――――――は?

この女、いったい何を……


(言い出す…?)


「あたしが泊まるって言う前まで、ずっとあたしがどこにいるのか確認してたくせに!」

「…なっ…!!」


自意識過剰にも程がある…っ!!


「で、あたしが泊まるって分かったら、嬉しそうな顔したくせに!」

「してねーよ」

「あら、いつもと違って語尾が荒いですわね?ずばり図星なんでしょう!?」

「………!?」


腰に手を当てて、ずいっと顔を近付ける。

向き合ってても拉致が明かなくて、俺は顔を背けて、ベッドに横になった。


「いーこいーこ」


―――って、ほんとにこのっ!

俺の頭を撫でている。

もうそれも全部無視して、壁側を向いた。

こいつが寝たら、客間に運んでやる。


「あたし、寝ずの番をしてあげるからね!不安だったら手、繋いであげてもいいからね!」

「……………」


いったい俺を何キャラに仕立て上げたいんだ。

閉じていた目を開けて、壁を睨んだ。


…………………、でも。


小さく寝返りを打って、小林の方を見た。


「………ん。」


こいつが年上ぶりたいみたいだから、それに便乗してやる。

そっと手を差し出すと、最初はキョトンとした小林も、すぐさま笑顔になった。


「…いーこいーこ!」


(それは余計だ)


またまた人の頭を撫でて、小林は何がそんなに嬉しいのか。

満面の笑みで笑っている。


(……小っさい手)


体と一緒で、チビっちゃい。