――静かになった部屋の中で、俺は寒さに震えていた。

…うそ。

寂しさに震えていた。

普段は一人でいたってどーってことない。

でも、こんな日は。

酷く不安で寂しくなる。

……それに、あのバカヤローが。

彼氏が欲しい欲しいって言ってる割には全然男のことが分かっていない、あの大バカヤローが、突然分かったような口を利くから。

心底ムカついた。

相手が俺だったから良かったものの、他の男相手なら確実に、絶対。


(ヤラれてただろ…)


ゴホゴホと、胸の痛む咳が出た。








「ほーらやっぱり!一人だと寂しくて泣いてるくせに!」


突然そんな声が落ちてきたせいか、寝ていた安堂くんが勢いよく起き上がった。


「な…!? なんでお前…!!」

「寂しがりやの甘えん坊プラス、泣き虫の強がりさん! あだ名にできないくらいテンコ盛り!」


ふんっ!と腰に手を当てて、安堂くんを見下ろした。

いつもはひょうひょうと無表情の安堂くんが、今は熱のせいか赤い頬のまま口をパクパクさせている。


「なん…っ」

「返品不可!ですので!」


何かを言いたげな安堂くんを遮って、手のひらを見せつけた。