「うちにも警察の人来てさぁ。びっくりだったんだよぉ」
「…ご迷惑、おかけしました…」
次の日。あたしは一躍時の人。
校内で閉め出しを喰らって、警察沙汰になる始末。
親からも先生からもこっぴどく叱られた。
そして学校中の人には「ベランダに閉め出された馬鹿」という名が知れ渡った。
(これじゃ彼氏なんて出来ない…)
なべっちが、あたしの目の前で呆れた頬杖をついている。
うなだれて、あたしは反省の色を見せた。
(こうなったのも全部…)
俯いた顔のまま、ちらりと奴の方を見る。
安堂佐久良(あんどうさくら)。学年で、彼氏にしたい男No.1。
「あは。でもさ、知枝里(ちえり)もやるよねぇ~。学校のベランダに閉じ込められるなんて、マンガみたい~!」
高1からの友達、なべっちこと川邉(かわなべ)りみに肩を叩かれた。
昨日、先生にフラれたはずなのに、安堂くんはいつも通りの様子だった。
フラれたのは確かなはずなのに…。
(って、そうじゃなくて!)
あたしは昨日から、心に決めていることがあった。
昨日、警察に保護された時から。昨日、親と先生に叱られた時から。
「あたし、ちょっと…!」
「え、どこ行くの!?」
「すぐ戻る!」
席を立って、彼の元に出向いた。

