研究しなきゃ…!“女の子らしい”いい匂い…。

グスン、と鼻を鳴らしていると、突然、胸元の安堂くんが顔を上げた。


(…え―――、)


その顔があまりに綺麗でびっくりした。

安堂くんを見つめるだけで精一杯のあたしを、安堂くんは簡単に捕まえる。

ぐいっと首筋を寄せられて――。

すぐさま安堂くんの顔が、視界から消えた。


「…、っぅ!?」


その瞬間、喉元にチクリとする痛みを感じた。


「な、なに!?」


すると安堂くんが自分は無実だというような、両手を挙げるポーズ。

その顔は実にひょうひょうとしている。

さっきまで、捨てられた子犬の顔をしていたくせに!

チクリと痛む喉元を擦って、あたしは怪訝に安堂くんを見た。


「特に何も」

「何も、じゃないでしょ!チクッてしたんだから」

「……見てみたら」

「は!?」


乙女の必需品、鏡をポケットから取り出して、痛んだ喉元を見た。


「………、あぁぁぁああぁあぁあ…!!!!!!!!」


あたしの雄叫びが空を突き抜けた。