「俺、他人のふりして水平線の向こう見とくから、勝手な独り言として。だったら禁断の恋愛を勝手にバラしたことにはならないべ?チェリーちゃんの独り言を俺が勝手に盗み聞きしたってアングル!
な、完璧!」
完璧、って。
アングル、って。
涙が出そうだったのに、笑顔が浮かんだ。
あたしよりも一層大きな笑顔の花。
桜田くんの笑顔が太陽に弾ける。
それから二人で砂浜に座って、水平線を眺めた。
キラキラ、ゆらゆら。
水面が揺れる。
あたしがぽつりぽつりと話す話を、桜田くんは何も言わずに、相槌さえも打たずに聞いていた。
本当にあたしの独り言であるかのように。
バラしてしまうって後ろめたい気持ちも、桜田くんは見抜いていたのかな。
言葉にしたくなくて隠した気持ち。
でもやっぱり一人では抱えきれなくなった、想い。
あたしが知っていること全部、思ったこと全部。
気がつけば全てを話していた。
全て話し終わっても、桜田くんは何も言わなかった。
でも、それが有り難かった。
心は凄く身勝手で、本当に辛い時は慰めなんていらないって分かった。
ただ聞いてほしかった。
誰かに傍にいてほしかった。
安堂くんも、同じ気持ちだったのかな?
ただ、誰かに傍にいてほしかった。
でも、その“誰か”に救われた。
傍にいてくれて良かった、って、安堂くんも思ったかな?
今のあたしみたいに。
ただ隣にいた。
そんなあたしのこと、少しは良かったって思ってくれてたのかな…?
考えると涙が出た。
話してる途中も泣いてしまった。
「………!」
すると、ふわっと頭を撫でられる。
桜田くんが頭を撫でてくれた。
水平線の向こうを見たままで。
泣き顔、いっぱい見られてるけど、今はいつよりもたくさん涙が出た。
その優しさが有り難かった。

