「……話、聞いていいなら、聞くよ?」
もっと柔らかな口調で言いたかったのに、失敗した。
つっけんどんな言い方。
これじゃ、まるで聞いてあげてもいいけど、って態度だ。
桜田くんの視線を避けるように、瞳を逸らした。
でも、視界の隅で桜田くんがふっと笑うのが分かった。
「あは。聞いてほしいって顔に書いてあった?」
また、そうやって。
いつも笑顔で蓋をする人。
「……書いてあったよ」
ちょっとだけ不貞腐れた顔で言う。
すると再び桜田くんはあっけらかんと笑った。
それはまるで、目を逸らしてしまいたい太陽みたいな笑顔で。
「今日は暴露大会しよーぜー?俺も久々に恋バナとかしちゃいたいし、チェリーちゃんも溜まってるっしょ!? ガッコーじゃ誰にも言えないもんね?辛い気持ち」
「…………、」
そして胸の奥底を揺さぶられる。
先に、桜田くんが自分の話をした。
過去の話は、どれも簡単に想像がついて、あまりの予想通りに開いた口が塞がらなかった。
女の子、とっかえひっかえ。
……想像がつきすぎる。
本人いわく、「めっちゃモテんだよね、なぜか」と笑っている。
「しかも決まってギャルっぽい子に」と。
それには激しく納得した。
あたしみたいなタイプの子なら、確実に桜田くんには近寄れないと思う。
同じクラスでも、席が隣にならなければ、こうやって話すこともなかったはずだ。
そこまでの話だと、どこに悩みがあるのかは分からなかった。
それに、今とはだいぶ話が違う。
確かに今の学校でも声はかけられているみたいだけど、浮いた話は聞かなかった。
女の子とそういうことをした、とかいう話も。
「高2の時、本当に好きな子に出逢ったんだ。それまでは“好き”って気持ち、分かってるようで分かってなかったらしー。そーゆーことだけしちゃっててねー。困るよね~、男って」
ししっと笑っている。
なのにどこか泣いている。
「……今も、好きなの?その子のこと」

