キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉



『どこに行くの!?』とまくし立てたところで、桜田くんは『いーとこ』としか答えなかった。

すぐさま駅に到着して、既に購入されていた切符を渡された。

それから、大きな駅まで出て、そして再び切符の配布。

その切符は列車の切符だった。

書いてある県名を見て、あたしは大きく桜田くんを見上げた。


『行先はそこ』


桜田くんは笑顔のままそう言うと、売店でお菓子を漁った。


『今日は俺のおごりだから、ほしいもの買っていーよ』


考えていることが分からない。

ただただ茫然とその金髪の姿を見つめていた。


そして、今。


「なっつかしいねー。この風景~」


列車の中で、プチ遠足みたいな雰囲気になって、二人でお菓子をつまみ、何故か桜田くんと隣の県を歩いていた。

桜田くんは街並みを眺めては、一人で満足げに背伸びをしている。


「あの……、ここは…?」


いったい、どこ?

って、隣の県ではありますが。

いったい、なに?


「俺の地元」

「……じもと…?」


そこになぜ、あたしを?

あたしの表情を読み取ってか、桜田くんが続ける。


「この街で生まれて~、この町で酸いも甘いも経験して~、苦楽も共にした愛すべき地元ってやつ?」

「じゃぁ…何で…。何で、転校なんて…」


あっけらかんとした笑顔を浮かべるから、その扉を簡単にノックしてしまう。

問いかけると、桜田くんは少しだけ悲しそうな笑顔を浮かべた。


「母親の再婚。本当はついてくる予定なんてなかったんだけどねー。ちょっとイロイロあってねー」


その陰った笑顔は、再婚という言葉じゃなく、イロイロにかかったような気がした。

ここから先に踏み込んでしまっていいのか分からなかった。

あたしと桜田くんは何か深いつながりがあるわけでもない。

だけど、あたしが辛い時、桜田くんは話しかけてくれた。