「お!チェリーちゃんじゃん!」
一人、いつものように人通りの少ない渡り廊下で外を見ていた。
そこでこの軽い口調。
「…桜田くん…」
「ひっさびさにガッコー来たらさぁ。何かガッコーが様変わりしてて、俺、チョーびびっちゃった」
「……………、」
そういえばここ数日クラスが静かだった。
3学期は席替えで隣の席じゃなくなった。
来て、なかったのか。
「心なしかガッコー中が沈んでるってゆーの?聞くとこに寄ればアンドーが来てなくて?目の保養美坂センセーが病休で休み?新しい英語教師はヤローだし、…それに」
桜田くんがそこで切る。
「アンドーが今度こそマジで彼女と別れたって噂があるらしーし」
「…………………、」
この1週間、日に日に視線が多くなっていた。
欠席の理由は風邪ということになっているらしいけど、みんなはあたしとのことで何かあったんじゃないかと疑っていた。
でもあたしが安堂くんを振るはずがない。
なのに安堂くんが学校に来ない。
出口のない迷路に、みんなも頭を悩ませるのに疲れてきたようだ。
「……ホントなの?チェリーちゃん」
面と向かって、こう聞いてきたのはなべっちだけだった。
まさか二人目が桜田くんなんて。
「……はは…っ。来て早々情報が早いね」
手すり部分に手を置いて、あたしは腕を伸ばしながら言った。
「……ホントなの?アンドーとセンセー、何かあったの…?」
桜田くんの言葉に、喉が鳴った。
「なに、言ってるの…?何で安堂くんと先生が…」
「印刷室でのセンセーの表情(かお)見たら一発で分かるっしょ。それにチェリーちゃんの態度も変だったし。ぴーんときたわけよ。これはアンドーを巡った女の戦いか?…ってね」
そう言って笑っている。
笑ったまま、今度は頭の後ろで手を組んだ。

