始業式の終わりを告げるチャイムが響いた。
それと同時に、突然騒がしくなる校内。
あたしとナッチはそれとなくその集団の中に混ざった。
「ちぇーっ。美坂センセー当分来ないのかよー。新しい英語のセンセーはヤローだしよー。英語、めっちゃつまんねぇ~」
「………!」
道行く男子の会話に、小さく固まった。
「え?美坂先生どうしたの!? 新しい先生って何!? しかも、男!?」
「…どうしたんだろうねぇ?何があったんだろ」
ナッチの顔は見ないまま首をかしげた。
でも、ナッチに異変を悟られる心配はない。
ナッチは“新顔の男”というワードに激しく食いついていた。
「あたし、ちょっと探ってくる!」
そう言って、廊下を走っていく。
やっぱりタフだな…。アグレッシブ。
あたしにもあれくらいの行動力があれば、きっともっと、状況は変わっていたかもしれないのに…。
「あ、知枝里~!」
階段を上っていると、今度はなべっちに声を掛けられた。
彼氏とはどう?と聞くと、順調!と笑顔で返事が返ってきた。
…良かった。
……いいな。
なべっちの笑顔は前よりもずっと穏やかで、幸せなんだってことが体からにじみ出ていた。
「それより知枝里!あんたの彼氏、どうしたのよ!?」
「――――、」
今は辛い、その言葉。
「今日、学校来てないよー!? クラスの女子、みんな悲しんでた。風邪?」
そっか。
今日、学校に来てないんだ…。
先生のとこにいるのかな…?
嫌いだって言ってた病院。
嫌いでも、関係ないよね。
先生のためだもん。
きっと今も、先生の傍についてあげてるんだ。
「えっと……、それが……」
「知枝里~~~……!」
返事をしようとしたところで、脱力したナッチが返ってきた。
「聞いてよ~!新しい英語の先生、チョーカッコ良かったんだけど……、婚約者いるらしい。指輪、光ってた…」
ナッチがグズッと涙を拭った。
「……あんたも懲りないね」
なべっちが鼻で笑い、話はそのまま流れていった。

