「だから寝煙草だけはやめなさいってば!!」
「…………、」
脅しも効かない。
我慢比べもダメ。
てことは、もう。
――家に帰らない。
それしか手段はない。
それから10日間、家には帰らなかった。
最初は3日で帰ろうとも思ったけど、余裕を見て1週間。
も少し余裕を見て、10日。
久しぶりにマンションへの道のりを歩いた。
自分ちに帰るだけなのに、内心びくびくしている自分が嫌だった。
でも、瞳で探していた。
いませんように。いませんように。
エントランスにはいなかった。
でも、まだ油断はできない。
あの女は鍵を持っていて、この前も玄関の前で待っていた。
…玄関の前にもいなかった。
だけどまだ油断はできない。
あの女、勝手に人んちに上がってくる。
そっと玄関を開けた。
………いない。
良かった。
良かった!
一人、心の中でため息をついて、自分の部屋に戻った。
久しぶりにリビングに親父がいるのが分かったけど、もちろん顔は合わせなかった。
あの女も大したことねーな。
しつこいって言ってたくせに、たったの10日で諦めた。
他の家でのバイトでも決まったのかな。
って、カンケーないけどな。
あんな女のことなんて。
それから再び、前の生活に戻った。
…と、思ったのに。
「あ、今日はいるー」
次の日、女はやってきた。

