「何を…、何をしてるのよっ!!」
その顔が真っ赤になって怒っていた。
すぐさま見えた肌をしまって、でもそれでもその顔は怒ったまま俺を睨みつけていた。
それでも俺は無表情に顔を逸らした。
「消えてよ。マジでウザいんだけど」
そう言うと、女は鞄を持って出て行った。
これでやっと、厄介払いができた。
最初から、こうしとけば、よかったのか。
これでやっとすっきりした。
昨日もちゃんと眠れていないし、今日は久々に家で寝ようと思った。
誰もいない空間。
親父のスケジュールなんて何も知らない。
当直だとか何だかとか。
他に女がいるから帰ってこないのかとか、そういうことにも興味がない。
ベッドに一人寝転がった。
目を閉じれば、このまま眠れそうだ。
「…………、」
でも、浮かんできたのはあの女の顔だった。
本気で怒った瞳(め)をしていた。
女にキスして、女を触って、あんな風に叩かれたのも、怒られたのも初めてだった。
「……………。」
だからって、別に関係ない。
ようやくこれで、平凡で単調な、つまらない生活に戻れるんだ。
気がつけば、眠りに落ちていた。

