心に開いた穴を、俺はどうすることも出来なかった。

いや、どうしたいとも思っていなかった。

いつの間にか学校には行かなくなっていた。

いわゆる逸脱行為ってやつは、多分だけど全部した。

煙草、飲酒、無免……。

いい寄ってくる女とは、そういうこともした。

別に、どうでもよかった。

何かを埋めたいとか、心を満たしたいとか、そういうのじゃ全然なかった。

たまに父親と顔を合わせることもあった。

どんどん明るくなる髪の色。

穴の開いた耳元。

それを見ても、あの男は何も言わなかった。

ただ、目を逸らして自分のために生きていく。


気がつけば、中2の夏を迎えようとしていた。