キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉



だから――――。

この日はいつもよりもはしゃいでいた。

気合いを入れた浴衣姿は、ばっちり決まっていた。

ドキドキで待ち合わせした駅前。

カランコロンと下駄を鳴らせて歩くあたしに、気付いて顔を上げた瞬間。

ちょっとだけびっくりした顔、見逃さなかった。

照れたその横顔を見て、あたしの心は跳ね上がった。

それから二人、手を繋いで電車に乗った。

電車の中も凄い混雑で――。

浴衣を着た女の子たちでにぎわっていた。

港近くの大通り公園での、花火大会。

ウォーターフロントで行われる花火2万発は結構な見物。


「あたし、彼氏ができたら絶対絶対この花火大会に来たいと思ってたんだ~」


さっき買ったボンボンを中指にひっかけて、うっとりと空を見上げて言った。


「うん。だと思ってた」


隣でラムネジュースを飲んでいる安堂くんが、こくりと頷く。


「もしかして、あたしって心読みやすい?」

「心読まなくても顔を見ればだいたい分かる」

「…………。」

「ちょっとひと気のないロマンチックな場所で、花火見たいって思ってるでしょ」

「!!」


口端で、にやりと笑う安堂くん。

まさか、本当に顔だけでバレちゃうとは…!!


「って、さっきすれ違ったカップルがそういう話してたの聞いただけなんだけど。あっちの歩道橋って意外と穴場だと思わない?」


人でにぎわうこの場所から、ちょっと距離のある歩道橋。

そこを指差して安堂くんが言った。


「いろいろ買いこんで、あっちで見ない?」


安堂くんがそんな風に考えてくれたってことが嬉しくて、満面の笑みを浮かべた。

道行く人の話に気を回すような人じゃ絶対にない。

…桜田くんのことも知らなかったような人だし。

そんな安堂くんが、あたしの顔に書いてあったからとは言え、そういう情報を集めて、そういう場所を考えてくれたってことが凄く凄く嬉しかった。

数日前のイザコザ。

それからあたし達の関係は、びっくりするほど良好だった。


「焼きそばにー、オムそばにー、お団子に、串にー、ジュースでしょー…。
 買い忘れ、ないよね?」

「焼きそばとオムそば、一緒に買う人初めて見た」