「水着?」
「そう。安堂くん、持ってる?」
「探せばあると思うけど…。どうして?」
「今年、一度も泳いでないと思わない?海には行ったけど、泳いでないし…。
で、あたし、プールに行きたいなぁ~って」
「俺はあんまり行きたくない」
「えっ!!」
ふいっと顔を逸らして、DVDをセットする安堂くん。
あたしは大きく目を見開いた。
「……もしかして、泳げない、とか?」
「は?」
「泳ぐの苦手、とか?」
「……それってどっちも同じ意味じゃない?」
呆れた視線が返ってきた。
「え…。じゃぁ…」
どうして行きたくないの?
「だって…。俺が水着になるってことは、小林も水着になるってことでしょ?」
意外な返答が返ってきて、キョトンとした。
それって…つまり…?
「それで水の中で触れ合ったりしたら、俺、どうなっちゃうか分かんないよ?」
……え?
「どっかに連れ込んで触りたくなっちゃうかもしれないし」
……………え?
「触るだけじゃ終わらなくて、もっと凄いことしちゃうかもしれないし」
……………す、すごい、こと…!?
それって、つまり………!!!
「………って、嘘だよ。小林、すごい顔になってるよ」
そう言って、安堂くんが噴き出した。
なんで、そこで、笑うの!?
真っ赤な顔のまま、あんぐりとして安堂くんを見つめた。
だってあたし達、付き合ってるんだし、そういうことがあったって、全然いいはずなのに!!
特別ならいいって、本当はただの綺麗事。
本当は触れてもらいたいに決まってる。
そういうことだって、したいに……。
「……………っ」
あまりに、他人事のように笑いつづける安堂くんに、だんだんと腹が立ってきた。
「な、なんで笑うの!?そういうことがあったって……、そういうことがあって当たり前じゃん!」
ギュッとスカートを握りしめて、安堂くんに言った。
今日もスカート。
いつも、可愛いスカートを選んでる。
そういうこと、ないって分かってても、期待してる自分がいる。
なのに、安堂くんは冗談の1つとして笑い飛ばす。
こんなのって、こんなのって……!
「おかしいじゃん!あたし達、付き合ってるのに!これだったら、何で付き合ってるのか……っ」
そこまで口にして、固まった。

