ゆっくりと先生の顔を見上げた。
「―――――っ」
見上げたその顔は、さっきの笑顔とはかけ離れた顔をしていた。
ただ、驚いてるだけ?
それとも、それとも…。
「……せんせい…?」
あたしが訊ねると、先生はハッとした顔をした。
「そうなんだ…!小林さん、やるー!じゃー、みんなの噂、間違ってるのね。先生たちに訂正しておかなきゃ」
先生はあたしから視線を逸らして、印刷機の上で書類をトントンと揃えた。
笑っているけど、笑っていない。
あたしはやっぱり間違ってなかった。
先生はまだ、安堂くんのことを好きなんだ――…。
きっと先生は、後悔している。
あの手を離してしまったことを、悔やんでいる。
あたしは絶対に、そんなことはしない。
自分から、あの手を離したりしない。
何があっても。
どんなことがあっても。
そう、強く言ってしまいたかった。
あたし達は別れませんので、諦めてください、って。
言えるなら。
言えることなら――……。
「小林」
そこに、ふいに人が入ってきて、あたしはビクッとした。

