突如現れた金髪の転入生、桜田くんの噂で校内は持ち切りだった。
(こんなことなら安堂くんと付き合ってるって言っとけばよかったかも…)
噂を消してくれるのは、75日の日数と新しい噂しかない。
転入生桜田くんは他のクラスの女子からは、教室に見に来られる程の人気だった。
ビジュアル的には相当ヤバい。
だけど中身はそれ以上に、ある意味ヤバい。
「どっかに新しい恋、転がってないかなぁ~」
ナッチは廊下掃除をしながら、ため息まじりに言った。
あたしはそわそわと隣の教室を気にしていた。
(……あっ!)
出てきた。
安堂くんが出てきた!
安堂くんはどこか別教室が担当らしく、あたしには気付かずに廊下を歩いて行った。
「はぁ~…」
その後ろ姿を見て、頬を染める。
隣で、箒の柄の上に顎を乗せていたナッチが呆れていた。
「それじゃ数ヶ月前のあたしじゃん~!あんたもうカノジョなんだから、もうちょっと目と目で会話するとか、すれ違い様にお互いちょっとだけ振り返っちゃうとか!」
「それ、イイ…!」
想像して手を合わせる。
「ま、そんなことよりもあれよね。何あげる予定なの?」
「え?」
何の話か分からずにナッチを見る。
ナッチもあたしを見た。
「………え?」
「…………………え?」
二人でパチクリと見つめ合って、ナッチがポツリと言った。
「……………、安堂くんの、誕生日」
「……………………っ」

