そうなのだ。
なべっちのついでにしか、安堂くんに会いに行けない。
見に行けない。
安堂くんは、隠す必要ないって言ったけど、隠していないとあたしが学校に居られなくなる。
絶対酷い目に遭う。
うなだれて頷いた。
「…うん、後で見に行く…」
人生って前途多難だ。
恋って、一難去ってまた一難だ。
ぐすり、と鼻を鳴らしていると、担任の先生が姿を現した。
「席につけー!」
(――――ゲッ!!)
天敵、景山先生だった。
景山先生は苦手だ。
怖いし、すぐ怒るし。
口を開けば、勉強しろっていうし。
だから数学も苦手。
俯いたまま、先生の話を聞いていた。
「このクラスにー、今日から転入生がやって来たー!みんな仲良くするように! ほら、入って」
一番前に座るナッチの、気合の入った声が聞こえた。
――――…ざわっ…!
その姿が一歩教室に足を踏み入れた瞬間に、教室が揺れた。
ナッチが叫んだ。
安川くんが歎いた。
その人は、とても背の高い…、背の高い、金髪頭の男の子だった。
景山先生の口元が引き攣っていたのは、このせいか。
「彼が、今日から我がクラスに来た転入生だ」
ナッチを筆頭にクラスの女子がざわめいている。
一番後ろの席のあたしから見ても分かるくらい、その人は派手にピアスをつけていて、さっきも言った通りの金髪。
目鼻立ちがくっきりしていて、ナッチの好きそうなタイプだ。
一瞬で女子のハートをわしづかみにした。

