桜舞う、4月。

初めての彼氏に浮かれていたあたしは、あっという間に新学期を迎え、気が付けば最高学年。

高校3年生になっていた。


「ニュース!ニュース!ビックニュ~~~~スッッ!!」


新しい学年の始まりのビックイベントといえば、クラス替え。


「知枝里~!聞いてよ!今職員室で話聞いちゃったんだけどーー!!」


騒がしく教室に入ってきたのは、恋敵から一転今では大の仲良しになった、有野奈津子。

あだ名はナッチ。


「転入生!転入生が来るんだって!!! しかもこのクラスに!」


ナッチが興奮気味に言った。


「え、うそマジで!? 女の子!?」


それにある男子が反応する。


「ちょっとヤス~、どこから沸いて出たのよー」


…安川くん。

今日も髪の毛に気合いが入っている。


「それに!転入生は絶対男です!」

「なにそれ、ナッチの勝手な理想だろ~?」


ヘラヘラと笑って、あたしの机の前。

安川くんは椅子に座り、片足を椅子の上に乗せていた。


「きっと超美形よ!それでいて彼女募集中!やっとあたしにも春がきたのよ!」

「こいつもう付き合った気だね」


神様に感謝するナッチを見て、安川くんがこそっと言った。


「~~~って知枝里! 新学期早々辛気臭いっ」


ハイテンションなナッチが、あたしを見て、怪訝な顔をした。