その言葉に、色んな気持ちが混在して、胸が苦しくなった。


「……最近泣き虫?」


涙を浮かべるあたしに、安堂くんが言う。


「あ、あたし、サイテーだから…」


友達は辛い思いをしてるのに、今、このお守りが手元に戻ってきたことを嬉しいと思ってしまった。

安堂くんが付き合わなくてよかったって思ってしまった。

そんなことを思ってしまったあたしって、サイテーだ。


「…有野サンは、そうは思ってなかったみたいだよ? 秘密は誰にも言わないから、頑張れって伝えてって、それ渡してきた」

「――――!!」

「それって、どーゆー意味?」


安堂くんが、何かを試すように、見透かすように、あたしを見据えている。

そこで携帯が震えた。

それはナッチからのメールだった。


[知枝里~!玉砕だったよぉ~(泣)めっちゃ悲しいけど、でもあたし意外とヘーキなの! 初めて、ちゃんと向き合ってもらえた。初めて、名前呼んでもらえた。これって全部、知枝里のおかげだよ~~~!!! ありがとう!めっちゃ感謝してるからね! だから、あたしのことは気にしなくていいから、知枝里も早く自分の気持ちに気付きなさいよ!]


そのメールを読み終わる頃には、涙は止まり、再び真っ赤になっていた。


(な、なんで…!?)


いつ、ナッチは気付いたの!?

あたしが気付くよりも先に、ナッチは気付いていたの!?


(いつーーー!?)


「メール、何て?」

「!!!」


画面を覗きこむ安堂くんに、思わず画面を手のひらで隠した。