「ふーん……。携帯も持ってなかったから警察沙汰になったんだろ?」

「それとこれとは別でしょ!?」

「別かな? 脅し、ってさ、証拠があってこそ成り立つものなんじゃないの?携帯も持ってなかったってことは、俺が放課後センセーと話をしてたってこと、映像として何も残ってないってことでしょ?」

「……!」


初歩的なミスに気が付き、あたしは目を見張った。目の前で、安堂くんが鼻で笑っている。


「……だっさ」


その言葉にかちんときて、安堂くんを指差した。


「お、女の子がねぇ、一人に言えばあっという間に噂は広がるんだから!! 女子の口コミ力、ナメてたら痛い目に遭うんだから!」


精一杯の強がりだ。

安堂くんが美坂先生と付き合ってたなんて、多分女子は信じない。

口コミ力もハンパない生き物だけど、嫌なことは信じないということでもハンパない生き物だ。

嘘っぱちではあったが、口コミ力という言葉に安堂くんも少し不安を覚えたらしい。

何かをジッと考えて、軽く腕を組んでいる。


「――じゃあ、」