任務を遂行し始めて、早いもので1週間が経っていた。

その間(かん)、なべっちだけじゃなく、恋の大魔神“ナッチ”も加わって、あたしと安川くんをくっつけようと二人が必死になっていた。

結局あたしは、どうするべきか答えを見つけられずに、時の流れるままに日々を過ごしていた。

そして同じく、安堂くんの機嫌もずっと悪い。


「…ねぇ、何か怒ってるの?」

「……怒ってないよ」

「もしかして、あれ、嫌いだった?磯辺揚げ」

「…………。」


安堂くんがムスッとして、目の前で本を読んでいる。

聞いても“怒ってないよ”しか言わないから、あたしもお手上げだった。


「ねぇ、今日もナッチのことなんだけどね、何とナッチこの間…」

「……小林、今も彼氏募集してんの?」


あたしの話を遮って、安堂くんが言った。


「………、…うん」


ナッチの話のために広げていた手はそのままに、頷いた。

彼氏は欲しい。

でも安堂くんが言った通り、今は“好きな”彼氏しか欲しくない。


「…まだ、化石になること気にしてんの?」


化石。

それは今でもやっぱり嫌だ。


「そ、そりゃあ…まぁ」


ここのところむっすりと怒っていた安堂くんが、珍しく話をしている。


「そんな名称はない方が……」


将来同窓会とかで言われたくないし。


「………川と…」

「え?」


聞こえなくて、聞き返した。

安堂くんが本に落としていた視線をこちらに向けた。


「それで、安川と付き合おうって思ってるの?」


安堂くんの口からその名前が出てきて、狼狽した。


「なんで、それを…っ」