キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉




彼女の名前は、有野奈津子。2年生。

なべっちの彼氏や安川くんと同じクラスの女の子。

出身中は、緑山中で安堂くんと同級生。

数年越しの恋を、そろそろ成就させたいのだという…。


「有野奈津子?…知らないな」


次の日の昼休み、あたしは一目散に屋上に走った。


「そ、そんなはずはないでしょ!安堂くんと中学校から一緒のはずで…!!」


屋上の扉を背に、安堂くんと向き合った。

昨日、これまた不可抗力でアドレスを交換することになり、10分おきくらいの勢いで、明日安堂くんに話してよね、と言われた。

心の中で涙を拭い、目の前で手の平を差し出す安堂くんを見た。


「……なに?」


キョトンとするあたしに、安堂くんは不機嫌そうに近付いた。


「べんとーだよっ」

「ギャッ!!!」


普通に言えば分かるのに、わざわざ耳を引っ張って言う。

耳の奥がキーンと鳴って、耳を押さえた。


「で、その有野奈津子が何なんだよ」


取り上げた鞄を勝手に開けて、安堂くんはお弁当を取り出している。

ここのとこ、ずっと機嫌が悪い。

眉間に一本、しわが寄ってる。


「え…、ほらー…、有野さんって可愛いよね?って思って」


人差し指を立てて言ってみた。

外巻きのパーマが上品で、大人っぽい安堂くんとお似合い。


(さりげなく有野さんをアピール、で、よかったんだよね…!?)


昨日、目にタコが出来そうなくらい送られてきた、作戦案を思い出した。


「…キョーミないね」


…安堂くんはそう言うと、黙々とお弁当を食べ始めた。