「あら、冴えてる!そうね…、交換条件…ってことでどうかしら?」
「交換条件…!?」
「そう。今の話聞いてると、小林さんって安堂くんのこと何とも思ってないみたいだし、あたしと安堂くんのこと、協力してよ」
「協力!?」
「そ。あたしと安堂くんの仲、取り持って!」
彼女は煌めかせた瞳であたしの手を取った。
希望に満ちた目をしているが、でも、その…。
(安堂くんには忘れられない人が…!)
なんてそんなことは言えずに、ダクダクと冷や汗が流れた。
「で、でも…」
「あなた、やっぱり安堂くんのこと好きなの?」
笑顔だった彼女が、再び無表情になる。
「いえっ、滅相もないっ!!」
「だったらいいじゃない、協力してよ!うまくいったらこのお守り返してあげるから!」
あたしが必死になって探していたことを彼女は知っていたらしい。
「もしこれを断るなら、あたしが知ってる二人の秘密、学校中にバラしちゃう」
にこりと笑って、悪女が笑う。
これで逃げ場を失った。
…いや、最初から逃げ道なんてなかったのだ。
あたしは呆然と立ちすくんだ。
「や、やれるだけのこと、やらせて頂きます…」
世間はもうすぐ3月が始まろうとしていた。

