『あ、あ、あそこ!?!?』

『うん。あそこならドライヤーとかで少しは乾かせるかも』

『ドドドドドド……!!??』

『それに小林、生きた化石から卒業したいんでしょ?』

『………カッ…!!』


化石候補、卒業…!!??


(それは是非とも……)


そっと、隣に立つ安堂くんを盗み見た。

何でこの男は、こんな会話をしつつもひょうひょうとしていられんだ。


『恥かかせないよ?』


安堂くんはにこりと笑って、あたしに言う。


(恥!? やっぱり化石って恥なの!?)


でも、初めては…、そういうことは、みんな好きな人とするもんなんじゃ…!!


『どうする?』

(ど、ど、どうする!?!?)


だって、初めては…、えっちは…、安堂くんなら、安堂くんなら……?

びしょ濡れのスカートを握りしめた。


『安堂くん、あたし……っ』


安堂くんに……、


『お、おね…っ』


(お願いします…っ!!!)


『なーんて、ね』


…………………………へっ!?


『あーゆーとこ、制服じゃ無理だよ。補導されちゃう』

『えっ!!??』

『行くも何も最初から入れないの。残念だったね』

『………………ざ…』


(残念だとぉぉぉ~~~~~!!??)


決めた覚悟がポロリと取れる。

安堂くんはポカンとしたあたしを鼻で笑い、口を開いた。


『小林、俺とならそーゆーことしてもいいって思ったんだ?』


ボンッ!!!


頭から湯気が出る勢いだった。


(安堂くんの意地悪~~~~!!!!)