キミの隣で恋をおしえて〈コミック版：恋をするならキミ以外〉

納得してない顔が、まだ、怒っている。

それと同時に再び風が吹いて、傘がどこかに飛んで行った。

一気に雨風にさらされて、顔に雨が打ち付ける。


「そ、そんなことないよ…、ただあたしは…。二人はまだ、立派な両想いだって思ったから…」

「…だからって、何で小林がこんなことするんだよ…っ」

「……………っ」


安堂くんのこの言葉が、胸に突き刺さった。


「…そう、だよね…あたしは全然、全然関係ないのに…ね…？」


恋もしたことないし、付き合ったこともないのに、偉そうに。

あたしが口出しするようなことじゃないのにね。


「…あたしの勝手な行動で安堂くん、傷つけちゃったよね…？ただ…あたしは安堂くんが少しでも楽になってくれれば…って、」


先生と寄りを戻せれば、元気になってくれるんじゃないか、って…。


「全然分かってないよ」


あたしの言葉を遮って、安堂くんが強い口調で言った。

まだ雨は強く降り注ぎ、いつもはふわふわと揺れているその髪の毛が、今は毛先まで怒って泣いているようだった。


「小林は、全然分かってない…」

「――…っ」


安堂くんがあたしを抱きしめた。

この腕に抱きしめられると、なぜか泣きたくなった。

怒ってるはずなのに、あまりにこの腕の中が優しくて。


「…もう、二度とこんなことしないって約束して」


低い声がそっと耳元で囁いた。

あたしはバカだ、大バカ者だ！

恋愛とは何たるや、も知らないで、真剣な恋にちゃちゃを入れて。

泣いて欲しくない人を泣かせた、大バカヤローだ。


「も、もう、勝手なことしないからね！こっそり裏で応援するからねぇっ！」


えぐえぐと泣きながら訴えると、あたしを包んでいた力が緩んだ。


「………小林って」


さっきまで泣きそうな、怒っているような顔をしていた安堂くんが、信じられないという顔であたしの顔を見た。


「え…？」