まるで本物の彫刻のように色味もなく、表情もなく、冷たい顔がこちらを見据えていた。
「そういえば“ベランダに閉じ込められたバカな奴”って、俺らの教室のベランダに閉じ込められたんだったね」
その冷たい口調に、ゾクリと背筋が凍った。
「週番が戸締まりする前からそこにいたってことは、あの話、聞いてたってことになるね」
(しゅ、週番…!)
よくよく考えて、閉め出されたのは、安堂くんのせいじゃない。
確認もせずにベランダの鍵を閉めたのが週番が悪い。絶対悪い。
なのにあたしのバカってば、助けてくれなかった安堂くんのせいにして、バレたら困るはずだった“あの話”まで知ってるって自白してしまった!(も当然)
「あ…、その。今の話はなかったことで……よろし…っ」
「待ってよ」
「ひっ!!」
「面白い話、知ってるんでしょ?」
カタカタと、昨日のベランダの時と同じくらい、全身が震えた。
「な、なんのことでしょう…?」
小首を傾げてしらばっくれる。

