「話があるの!」
心臓は破裂しそうなくらい高鳴っていたけれど、
足は取れちゃいそうなくらい震えていたけれど、
あたしの決心は変わらなかった。
家のチャイムを鳴らして、玄関が開くのを待った。
中で何か話し声がして、数秒後、ドアが開いた。
「今日は親父が…」
「これっ!!!」
安堂くんが少し困った顔をしていたのは無視して、あたしは持っていた、今さっき作ったばかりのチョコを差し出した。
「……は?」
「これ、チョコ!」
ポカンとする安堂くんは置き去りにして、ぐいぐいとその箱を押し付けた。
「…バレンタイン、明日じゃ…」
「そうだよ!明日なんだよ!」
「…は…?」
「明日は…、明日は…!想いを伝えていい日なんだよ…っ」
そこまで言うと、なぜか涙が零れていた。
「…っ小林…!? ちょ…、なに…」
「このチョコ、使っていいから…!だから先生に想いを…っ」
泣きながらそう言うあたしの口を、安堂くんは手で塞いだ。
その勢いで玄関の扉が閉まり、玄関の外で向き合った。
「こんなとこで何てことを…」
いつもは無表情の安堂くんもさすがに焦りを浮かべていた。
それでもお構いなしに、安堂くんを見上げた。
「先生、今もまだ、安堂くんの好みのチョコ、気にしちゃうくらい、レシピ見ちゃうくらい好きだから…、だから…っ」
「―――だから、このチョコ持って、告れ、って?」
あたしの言葉の先を、紡いだ。
あたしは涙を拭きながら、小さく、でもしっかりと頷いた。
「……そのためにわざわざチョコ、作ったの?」
安堂くんが手元の箱を見て、低く言った。
本当は違う。
安堂くんにあげようと思って、初めて手作りのチョコを作った。
甘いのが好きって、先生が言ってたから…うーんと甘いチョコのレシピを探して…、安堂くんのために作った。

