テストは今までで1番よく出来た。
安堂くんに教わったところは全部書けた。
でも。
今のコンディションは、クリスマス前と同じくらい最悪だった。
テストは午前中までしかなかったから、この4日間は安堂くんと一言も喋ることがなかった。
もし、お弁当があったとしても、安堂くんは屋上には来なかったかもしれない。
「知枝里~!やぁっと終わったね!明日、買い物に行って、明後日一緒に作ろうね!」
なべっちの明るい声にも、微笑み返すのが、やっとだ。
何が辛いって、自分の心の中にある葛藤だ。
先生はまだ、脈ありっぽいよって安堂くんに教えてあげられない自分がいる。
不確かさな言葉で、安堂くんを傷付けたくないからなのか、それとも―――……。
考えれば考えるほどぐちゃぐちゃになって、答えを見つけ出せないでいる。
どうしてあげたらいいんだろう。
あたしは、どうしてあげたら―――…。
「知枝里~?」
日曜日、なべっち家で調理をしていると、ケーキを作っているなべっちがあたしを呼んだ。
「んー?」
「……安堂くんさー?めちゃくちゃモテるから不安になるのは分かるけどさー?バレンタインって両想いのためだけの日じゃないんだからね?」
なべっちが、言う。
「想いを伝える日!ってことで神様が与えてくれた日なんだから!たとえ上手く行かなかったとしても、諦めること、ないんだからね!」
『想いを伝える日』
友の言葉が、背中を押してくれる。
あたしは作り終わったチョコを片手に、決心して、駆け出した。
その人の家を目指して、その人の元を目指して。
駅に走った。
流れる街並も今日は横目にしか見なかった。
家まで走った。
部屋の番号を押した。
(出て、出て、出て―――…っ)
『はい…』
「小林ですけど!」
『…小林…!?』

