キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉




二人が付き合い始めたのは3年前。

その時はまだ、二人は学生同士だった。

大学生と中学生だったけど、きっとそれでも、先生と生徒という今よりもずっとずっと幸せな距離だったに違いない。

きっと先生だって。

教師になるのを夢見ていたなら、いずれ二人の関係に恋愛以外の障害が立ちはだかるって分かっていたはずだ。

もちろん安堂くんも。

二人はそれでも、共に過ごすことを選んだ。

それくらい強い想いで結ばれた。


でも―――。

きっと二人にしか、もしかしたら先生にしか分からない葛藤があって、二人は離れ離れになってしまったのかもしれない。

それでも、二人は強く想い合っている……。


「小林、聞いてる?」


教科書の文字を見つめたまま、あたしはまばたきすら出来ずにいた。

今日もまた、安堂くん家でお勉強。

今日は月曜日。

明日から、4日間かけてテストが行われる。


「……聞いてる」


顔は上げられないまま、安堂くんに返事をした。


「うそつけ。全然聞いてないじゃん。もう諦めろって。1週間じゃ彼氏は出来ない」


安堂くんはあたしが元気がない時は、全てこの理由だと思っている。

でも今はむしろ都合がいい。

あたしが勝手に、二人のことで落ち込んでると知れたら…それは面倒だ。


「……まだ、分からないもん。逆チョコの可能性を捨ててないもん」


平然を装って唇を尖らせた。


「無理だと思うけど」


安堂くんは鼻からそう言う。


「バレンタインのどこが楽しいんだよ。ただお菓子会社の商法に乗っかってるだけじゃん」

「…またロマンのカケラもないことを言う…!」


安堂くんの皮肉なところ、あたし大嫌い!


「安堂くんだってチョコ貰って悪い気はしないくせに!」

「チョコ、嫌いだもん」

「うそつけ!甘党だって聞いたもん!」

「………誰に?」

「!」


安堂くんの、声のトーンが低くなって、あたしは生唾を飲み込んだ。

しまった。あたしのバカ。

また口が滑って余計なことを言ってしまった。


「う、噂で聞いた…っ。だからみんな、安堂くんにチョコあげるんだ、って」


震える唇で言った。

安堂くんは目を伏せて、「ふーん」と言っただけだった。


それから二人に会話はなかった。

勉強会も、今日で終わりになった。