小児科外来の前で待っていたら、
すぐに診察室から蒼兄ちゃんが
ドアをあけて「まりあ。どうぞ」
と診察室に入れてくれた。


1時間以上も待っている患者さんもいるのに、家族というだけで順番待ちをしていない。




まりあ「蒼兄ちゃん、ただいま〜」



蒼介「お帰り。
今日学校でいつもと違うことあった?」


まりあ「ううん、
今日は体育もない日だし」


蒼介「元気はあるみたいだけど、
おしっこの検査の結果が
あんまりよくないのが気になるな
膀胱炎かもね」


まりあ「そうなの?」


蒼介「風邪って感じはしないんだけど、
念のため胸の音きくから
服をまくって上にあげて」


恥ずかしいのにな↘


でもここが病院だから仕方ないかも↘


蒼介「他の子もみんなやってくれてるから、まりあも服まくって上にあげて」



スカートとブラウスの間の
ほんのちょっとの隙間から
聴診器を入れられた。


蒼介「大きく吸って、はいて〰。
もう一回、大きく吸って〰、
ゆっくりはいて〰」


蒼介「きれいな音だね。
そうしたら今度はお口の中みせて」


蒼介「大きくあけて、
お腹から低い声で
アーって言って」


まりあ「アー アー アー」


蒼介「もっと大きくあけて」



喉の奥まで蒼兄ちゃんの
指が突っ込まれる。
家族だから
舌圧子なんて使わない。




蒼介「次はね、目にライト当てるから
眩しいけど、
右みて、左みて、上みて、下みて」





蒼介「やっぱり風邪じゃないな。
問題は、膀胱炎の方だね。
後ろ向いて、背中叩くから」



トントントン


まりあ「いたいーっ!」


蒼介「痛いのここだけ?他は?」


ドンドンドン


まりあ「ぎゃあーーー。痛いよ!
やめて!!」


激痛。


涙が出ちゃう。


蒼介「ごめん、ごめん。
痛かったな。
お兄ちゃんが悪かった。
でもこれをしないと
お薬が
決められないんだよ」


まりあ「もう終わり??
帰っていいでしょ?
あたしまだおやつもらってないし
今日は算数の宿題があるの」


蒼介「終わりでいいよ。
でも今夜熱が上がるようなら、
背中を叩く検査以外にも
点滴とかするからね。
おやつ食べたら
この薬飲んでゆっくりしてて。
外に遊びに行ったらだめだよ」


返事をしなければ家の鍵をもらえないから、


まりあ「はぁい」

蒼介「よし、おしまい。行っていいよ
洗濯物取り入れてくれなくていいから」


まりあ「平気。それくらいはやっとくよ」