「何で、麻衣がここにいるんだ?」
「えっ?」
「だから、ええと、ここは少し特殊と言うか、真っ暗だし、変な世界だろ? どうしてここに麻衣がいるのかと思って」
麻衣は少し俯き加減に、
「私にも分からないの。自分の部屋で寝てたはずなのに、気付いたら学校にいて、どうしていいかわからなくなっちゃったから歩いてたの」
家で寝ていたはずなのに学校にいるだんなんて夢遊病の気がないとしたらパニックになるのは必至なのだが、そこでテンパらずに散策するなんて天然の麻衣にしかできない業だな。
「真っ暗ですごく怖かったんだけど、歩いてたら急に蘭の声がするんだもん。ビックリしちゃったよ」
ようやく落ち着いてきたらしく、スカートの埃を払いながら起き上がるが、何故いきなり麻衣はこの世界にすっ飛ばされたのだろうか?
「それより、蘭は御巫さんと何やってたの?」
今度は矛先がこちらに向けられた。いや、ちょっとこの状況は説明し辛いぞ。合理的な返答を持ち合わせていない俺は横で立ち尽くすゆきねに視線を向けるしかできなかった。
「あなたも巫部凜に選ばれたのよ」
「えっ? 選ばれたって何ですか?」
ゆきねの言葉に麻衣は驚いたように目を見開き、暫く見つめあう格好になっている。
「この世界は巫部凜によって作られた。彼女が作り出す平衡世界の一部分、それが闇ってわけ」
「へいこうせかい? それに闇って……」
ダメだ。この二人じゃ会話が進まない。ここは俺が説明するしかなさそうだ。
「ちょっと待て。俺から説明するよ。ええとだな麻衣。これからとんでもない話をすると思うが、引かずに聞いてくれ」
麻衣に向き直り、その瞳を見据えた。
「うっ、うん」
「巫部はある事がきっかけで、あいつが迷うともう一つの世界を作り出す体質になっちまったようなんだ」
「もう一つの世界?」
「ああ、例えば、麻衣が肉まんにするか、あんまんにするか悩んだとしよう。普通はどちらかを選ぶともう一方を選ぶという世界はないよな。だが、巫部は理由が分からないのだが、そのどっちの世界も存在してしまうみたいで、その選択が増えていった結果、今ではもうパンク寸前なんだ」
「……」
麻衣は俺の話が信じられないのか。呆けたような表情をしていた。
「でだ、さらに厄介なことに、巫部が作り出す他の世界には、こういう闇の部分と言うかバグが存在してしまうらしい。その中には、さっきみたいに得体の知れない化け物がいて、俺たちを襲ったってわけだ」
「……それって、凜ちゃんが悪いの?」
そりゃかなり的を射ていない質問だぞ。
「いや、悪いというか、そういうのじゃなくて……」
「よかった。凜ちゃんが怒られちゃうとかそういうのじゃないのね」
ホッと胸を撫で下ろしている麻衣だが、俺の説明ちゃんと聞いていたのか?
「なんとなくだけどわかったわよ。そっか、ここは凜ちゃんが探してた世界なんだ。見つかって見つかってよかったね」
「いやいや、そんな事を言ってるんじゃないんだけどな」
「で、どうやったらお家に帰れるの?」
「それは俺にもわからないのだが」
隣に二人して視線を向けると、
「それは……」
そこまで言いかけ、ゆきねは、後方に視線を向けた――と思った瞬間大きく跳躍。まさか、また奴が襲ってきたって言うのか?
「あっ、蘭!」
俺が飛び出したゆきねの姿を追おうとして視線を向けようとすると、麻衣の手が背後から俺の両目を塞いだ。
「なっ、なんだ! 何が起こった?」
「ちょっ、ちょっと見ちゃだめ」
そんな麻衣の言葉と共に俺の目は塞がれたまま、遠くで響く金属音が耳に入った。一撃目の寸刻後の二撃目、先ほどとは違い少し低い金属音が鳴り響いた。
「おっ、おい麻衣、どうしたんだ?」
背後から少し背伸びをするように俺の目を塞いでいた麻衣は、ゆっくりと手を離す。
「だって、御巫さんスカートだし、蘭てば本当にエッチなんだから」
少し拗ねたように口を尖らせるが、まあ、俺も一般男子の端くれとして、スカートの中が見えそうになるなんて事態にはつい凝視してしまうのは当然の反応ってことで、そんなおいしい光景が先ほど目の前に展開していたなんて少しもったいない気分だ。って、そんな男子高校生の悲しい性について語っている場合じゃない。ゆきねはどうなったんだ。
ゆきねが飛び出していった方に視線を向けると既に事は片付いたらしく、こちらに向かって歩いて来ているところだった。
「えっ?」
「だから、ええと、ここは少し特殊と言うか、真っ暗だし、変な世界だろ? どうしてここに麻衣がいるのかと思って」
麻衣は少し俯き加減に、
「私にも分からないの。自分の部屋で寝てたはずなのに、気付いたら学校にいて、どうしていいかわからなくなっちゃったから歩いてたの」
家で寝ていたはずなのに学校にいるだんなんて夢遊病の気がないとしたらパニックになるのは必至なのだが、そこでテンパらずに散策するなんて天然の麻衣にしかできない業だな。
「真っ暗ですごく怖かったんだけど、歩いてたら急に蘭の声がするんだもん。ビックリしちゃったよ」
ようやく落ち着いてきたらしく、スカートの埃を払いながら起き上がるが、何故いきなり麻衣はこの世界にすっ飛ばされたのだろうか?
「それより、蘭は御巫さんと何やってたの?」
今度は矛先がこちらに向けられた。いや、ちょっとこの状況は説明し辛いぞ。合理的な返答を持ち合わせていない俺は横で立ち尽くすゆきねに視線を向けるしかできなかった。
「あなたも巫部凜に選ばれたのよ」
「えっ? 選ばれたって何ですか?」
ゆきねの言葉に麻衣は驚いたように目を見開き、暫く見つめあう格好になっている。
「この世界は巫部凜によって作られた。彼女が作り出す平衡世界の一部分、それが闇ってわけ」
「へいこうせかい? それに闇って……」
ダメだ。この二人じゃ会話が進まない。ここは俺が説明するしかなさそうだ。
「ちょっと待て。俺から説明するよ。ええとだな麻衣。これからとんでもない話をすると思うが、引かずに聞いてくれ」
麻衣に向き直り、その瞳を見据えた。
「うっ、うん」
「巫部はある事がきっかけで、あいつが迷うともう一つの世界を作り出す体質になっちまったようなんだ」
「もう一つの世界?」
「ああ、例えば、麻衣が肉まんにするか、あんまんにするか悩んだとしよう。普通はどちらかを選ぶともう一方を選ぶという世界はないよな。だが、巫部は理由が分からないのだが、そのどっちの世界も存在してしまうみたいで、その選択が増えていった結果、今ではもうパンク寸前なんだ」
「……」
麻衣は俺の話が信じられないのか。呆けたような表情をしていた。
「でだ、さらに厄介なことに、巫部が作り出す他の世界には、こういう闇の部分と言うかバグが存在してしまうらしい。その中には、さっきみたいに得体の知れない化け物がいて、俺たちを襲ったってわけだ」
「……それって、凜ちゃんが悪いの?」
そりゃかなり的を射ていない質問だぞ。
「いや、悪いというか、そういうのじゃなくて……」
「よかった。凜ちゃんが怒られちゃうとかそういうのじゃないのね」
ホッと胸を撫で下ろしている麻衣だが、俺の説明ちゃんと聞いていたのか?
「なんとなくだけどわかったわよ。そっか、ここは凜ちゃんが探してた世界なんだ。見つかって見つかってよかったね」
「いやいや、そんな事を言ってるんじゃないんだけどな」
「で、どうやったらお家に帰れるの?」
「それは俺にもわからないのだが」
隣に二人して視線を向けると、
「それは……」
そこまで言いかけ、ゆきねは、後方に視線を向けた――と思った瞬間大きく跳躍。まさか、また奴が襲ってきたって言うのか?
「あっ、蘭!」
俺が飛び出したゆきねの姿を追おうとして視線を向けようとすると、麻衣の手が背後から俺の両目を塞いだ。
「なっ、なんだ! 何が起こった?」
「ちょっ、ちょっと見ちゃだめ」
そんな麻衣の言葉と共に俺の目は塞がれたまま、遠くで響く金属音が耳に入った。一撃目の寸刻後の二撃目、先ほどとは違い少し低い金属音が鳴り響いた。
「おっ、おい麻衣、どうしたんだ?」
背後から少し背伸びをするように俺の目を塞いでいた麻衣は、ゆっくりと手を離す。
「だって、御巫さんスカートだし、蘭てば本当にエッチなんだから」
少し拗ねたように口を尖らせるが、まあ、俺も一般男子の端くれとして、スカートの中が見えそうになるなんて事態にはつい凝視してしまうのは当然の反応ってことで、そんなおいしい光景が先ほど目の前に展開していたなんて少しもったいない気分だ。って、そんな男子高校生の悲しい性について語っている場合じゃない。ゆきねはどうなったんだ。
ゆきねが飛び出していった方に視線を向けると既に事は片付いたらしく、こちらに向かって歩いて来ているところだった。

