「この世界のどこかにニームがいるはず。ニームを殺せば、平衡世界が無くなるのよ。で、一件落着ってわけ。私たちはその気配を追ってここまできたの」
「殺すなんて物騒な話ですね」
「そうでもないわよ。さくらが言った平衡世界が増えるとどうなると思う?」
「無限に世界が広がっていくだけなんだろ?」
「そんな簡単な話じゃなわよ。この世界には世界容量と言って平衡世界が存在できるキャパシティーがあるの。それを超えたら終わりよ」
「終わり……とは?」
「風船は空気を入れすぎるとどうなる? 一瞬で破裂するわよね。それと同じ原理で、増え続けた平衡世界はやがて世界容量に達してしまい、最終的には破裂してしまうってわけ」
「世界が破裂ってまさか」
「そう、一瞬でこの世界は無くなるわね。まあ、最も文字通り一瞬の出来事だから死という概念すら感じられないでしょうね」
なんてこった。ゆきねの言っていることが本当ならば、世界が増えすぎるとこの世界が無くなるだと。冗談も大概にしてくれ。
「じゃあ、君たちは、その平衡世界をなんとかしようとしている存在なのか?」
「そうよ。私とさくらはこの世界と平衡世界を行き来できる。だから、この世界が滅亡しないようにニームを探してるってわけ」
「……」
もう俺の想像できる領域を軽くぶっちぎっている気がする。何がどうしてこんなことになっちまって、何故俺が巻き込まれなくちゃならないんだ。
「ちゃんと理解した? 今ゆきねが言ったことはまぎれもない真実なの。私とゆきねは今までニームを探して生きてきたの。だけど、手がかりが掴めずじまい。このままじゃちょっとまずいのよね」
さっきまで手で顔を洗っていたさくらがききねの隣に並び立つ。
「今はまだ平衡世界は少なくて世界容量は達しないわ。でも、別の問題があるのよね」
「別の問題、ですか?」
「平衡世界の中にはごくたまにだけれどバグが発生する時があるの。ニームが選択をしなかった世界がその延長線上じゃなく、闇に覆われるような感じで真っ暗な領域となってしまうの。で、その領域は文字通りバグだから異常な事象が数多く発生し、正常な世界まで浸食しようとするの」
ハハッ、今度は闇に覆われた世界だなんて、これなんてファンタジー?
「それでね。そのバグはこの世界と平衡世界を覆い尽くそうと拡大を続けるの。そうなるとどうなると思う? 世界容量に達した時も終わるけど、バグに覆い尽くされた世界はその自浄作用により元に戻ろうとするわ。そなったら世界はその根源である人間を排除すると言われてるわ」
「排除って、もしかして」
「そう、全てをリセットして原始の世界に戻るでしょうね」
なんてこった。世界容量に達してもアウトだが、バグが広がってもアウトだなんて、もう一体全体どうなってやがんだ。
「今現在では、世界容量に達するよりバグが広がるリスクの方が高のね。だから、ゆきねはバグが発生した時は速やかに処理しているのよ」
「じゃあ、今この瞬間もそのバグとやらが広がって世界滅亡へのカウントダウンが始まっているってことなんですか?」
「今現在、バグは発生していないわ。もし、奴が出てくるなら私が感じるもの」
「そうね、ゆきねはその勘だけは鋭いからね」
「その勘だけってどういう意味よ」
「まあまあ、いいじゃない。ところで人間さん。この話を聞いたのならニームを探すのを手伝ってもらえるかしら?」
さくらはさらに歩み寄る。
「いっ、いや、一般人である俺にできることはないと思いますが」
「あまり過激なことは期待しないわ。この世界でバディがいるってことが重要なんだから」
「はっ、はあ」
「ふんっ! 精々足手まといにならないことね」
何故かむくれ面になったゆきねは、用事は済んだとばかりに踵を返してしまった。その場に立ち尽くすしかできない俺。いきなり使い魔がでてきたり、平衡世界だのバグだのって、何がなんだかわからないっての。ただ一つ言えることは、このこの上なく危険な匂い漂う事象に巻き込まれちまったってことだけだ。
はあ、一体俺が何をしたって言うんだ。なんか俺ばっかりが不幸な目にあっている気がするぞ。この先どうしたらいいのか……。
いくら考えても妙案が思い浮かばない。ここは現実を逃避して寝ちまうのが一番かな。と、天笠さんとのメールもそこそこに放課後は速攻帰宅したのだった。
「殺すなんて物騒な話ですね」
「そうでもないわよ。さくらが言った平衡世界が増えるとどうなると思う?」
「無限に世界が広がっていくだけなんだろ?」
「そんな簡単な話じゃなわよ。この世界には世界容量と言って平衡世界が存在できるキャパシティーがあるの。それを超えたら終わりよ」
「終わり……とは?」
「風船は空気を入れすぎるとどうなる? 一瞬で破裂するわよね。それと同じ原理で、増え続けた平衡世界はやがて世界容量に達してしまい、最終的には破裂してしまうってわけ」
「世界が破裂ってまさか」
「そう、一瞬でこの世界は無くなるわね。まあ、最も文字通り一瞬の出来事だから死という概念すら感じられないでしょうね」
なんてこった。ゆきねの言っていることが本当ならば、世界が増えすぎるとこの世界が無くなるだと。冗談も大概にしてくれ。
「じゃあ、君たちは、その平衡世界をなんとかしようとしている存在なのか?」
「そうよ。私とさくらはこの世界と平衡世界を行き来できる。だから、この世界が滅亡しないようにニームを探してるってわけ」
「……」
もう俺の想像できる領域を軽くぶっちぎっている気がする。何がどうしてこんなことになっちまって、何故俺が巻き込まれなくちゃならないんだ。
「ちゃんと理解した? 今ゆきねが言ったことはまぎれもない真実なの。私とゆきねは今までニームを探して生きてきたの。だけど、手がかりが掴めずじまい。このままじゃちょっとまずいのよね」
さっきまで手で顔を洗っていたさくらがききねの隣に並び立つ。
「今はまだ平衡世界は少なくて世界容量は達しないわ。でも、別の問題があるのよね」
「別の問題、ですか?」
「平衡世界の中にはごくたまにだけれどバグが発生する時があるの。ニームが選択をしなかった世界がその延長線上じゃなく、闇に覆われるような感じで真っ暗な領域となってしまうの。で、その領域は文字通りバグだから異常な事象が数多く発生し、正常な世界まで浸食しようとするの」
ハハッ、今度は闇に覆われた世界だなんて、これなんてファンタジー?
「それでね。そのバグはこの世界と平衡世界を覆い尽くそうと拡大を続けるの。そうなるとどうなると思う? 世界容量に達した時も終わるけど、バグに覆い尽くされた世界はその自浄作用により元に戻ろうとするわ。そなったら世界はその根源である人間を排除すると言われてるわ」
「排除って、もしかして」
「そう、全てをリセットして原始の世界に戻るでしょうね」
なんてこった。世界容量に達してもアウトだが、バグが広がってもアウトだなんて、もう一体全体どうなってやがんだ。
「今現在では、世界容量に達するよりバグが広がるリスクの方が高のね。だから、ゆきねはバグが発生した時は速やかに処理しているのよ」
「じゃあ、今この瞬間もそのバグとやらが広がって世界滅亡へのカウントダウンが始まっているってことなんですか?」
「今現在、バグは発生していないわ。もし、奴が出てくるなら私が感じるもの」
「そうね、ゆきねはその勘だけは鋭いからね」
「その勘だけってどういう意味よ」
「まあまあ、いいじゃない。ところで人間さん。この話を聞いたのならニームを探すのを手伝ってもらえるかしら?」
さくらはさらに歩み寄る。
「いっ、いや、一般人である俺にできることはないと思いますが」
「あまり過激なことは期待しないわ。この世界でバディがいるってことが重要なんだから」
「はっ、はあ」
「ふんっ! 精々足手まといにならないことね」
何故かむくれ面になったゆきねは、用事は済んだとばかりに踵を返してしまった。その場に立ち尽くすしかできない俺。いきなり使い魔がでてきたり、平衡世界だのバグだのって、何がなんだかわからないっての。ただ一つ言えることは、このこの上なく危険な匂い漂う事象に巻き込まれちまったってことだけだ。
はあ、一体俺が何をしたって言うんだ。なんか俺ばっかりが不幸な目にあっている気がするぞ。この先どうしたらいいのか……。
いくら考えても妙案が思い浮かばない。ここは現実を逃避して寝ちまうのが一番かな。と、天笠さんとのメールもそこそこに放課後は速攻帰宅したのだった。

