「詩月、ありがとな。」
イチゴを溶かしたチョコレートに沈めながら、たっくんが口を開いた。
その真剣な表情と慎重に動かす指先がはーちゃんの為だけのものだと思うと、ちょっと羨ましくなる。
「それは、はーちゃんのOKがもらえてから言った方がいいんじゃない?」
「…言わせるから、今言っても大丈夫だ。」
「……たっくんに惚れそうだわ。」
「ごめん。」
「早っ!」
冗談交じりの告白は間髪入れずに玉砕。
しかも手を止めることもこちらを見ることもないのが、また悔しい。
恋愛感情がないことが幸いだ。
こんな感じで、家中に甘い匂いを充満させながら、和気藹々と私とたっくんはそれぞれの想い人へのチョコレートを準備したのだった。
そして。
後片付けを始めた頃、ようやくはーちゃんが部屋から出てきた。

