キッチンに戻ると、たっくんは勝手にお茶を飲んでいた。
ご丁寧に私の分まで用意されている。
早朝のダイニング。テーブルに向かい合ってお茶をすする高校生…むしろ不健全!

「で、どうして私はこんな朝早くから叩き起こされて、たっくんなんかと向かい合ってお茶飲んでるのか、ご説明いただいてもよろしいでしょうか?」

ジトリと睨み付けると、あちらは、ゆっくり3秒、私の睨みを正面から受け止めた後、すーっと目をそらした。
たぶんちゃんと説明してくれると思ったから、私はたっくんが話し出すのをただ待つ。淹れてもらったお茶を飲みながら。

考え込んでいたたっくんがちらりと時計を見る。
私もつられるように時計を見上げる。
時刻は7時48分。

「華月に…」

「うん?」

静まりかえった部屋に時計の秒針の音だけが聞こえる。待つだけの時間が妙に長く感じる。

「告白、しようと思う。ちゃんと。」

「うん。」

伺うように見れば、たっくんはまだ窓の外を見たままで、まるで人ごとのように口を開いた。

「せっかくだし、オレからチョコレートやってもいいかな、と思って。」

「うん。」

「だから、オレでもできるもの、教えてくれ。」

「うん…はぁ?たっくんが、作るつもり?」

思わず身を乗り出すと、たっくんは私の方に向き直るとそれこそ不思議そうに頷いた。「当然だろう?」と。

……敵わない。