不機嫌な幼馴染みが好きなのは・・・


私は今、一心不乱にチョコを刻んでいる。

とにかく何も考えなくていいように。

ひたすら細かく、細かく、細かく…製菓用の板チョコが削れていく様は、最初こそ面白く集中できたのだけど、やればやるほどなかなか進まない作業にイライラしつつもあった。

それもこれも…ダンダンダンッ

「はーちゃん、それはちょっと大きいかな…」

それもこれも…ダンダンダンッ

「はーちゃん…ちょっと休憩しようか?」

それも…

「え?」

不意に右手を捕まれて、ハッと顔を上げると、詩月が苦笑いで私と手元を見ている。
まな板の上には決して細かくないチョコの欠片が散乱していた。

「あー…ごめん。」

詩月が手を離すのを待って包丁を置く。
大きなため息を吐きながら、もう一度「ごめん」と漏らす。溜め込まれたモヤモヤも一緒に出ていってくれたらいいのに。

「失敗したわけじゃないから大丈夫だよ。」

詩月が笑いながら冷蔵庫からプリンを出してきて私にも渡してくれる。それを受け取りながら、椅子に座った。
黙ってプリンを食べる私に、詩月が遠慮がちに話しかけてきた。

「はーちゃん、別にたっくんの言ったこと真に受けなくて大丈夫だよ?」

「え…?」

詩月は困ったような笑顔で私を見ていた。