『――俺を、忘れたのか』


またこの声が。

胸を焦がす焼きつく痛みが、体中に波のように広がって、手の指先までリアルに感じた。


苦しいよ、つらいよ。

呼吸の方法さえ忘れてしまうほどに、すごく、


あなたは誰?心臓が圧迫されるように、刹那的な一時の気が乱れた。


体が、おかしい。

何これ、私、おかしくなってしまったんだろうか?


『 奈 都 』

知らない誰かが、自分の名を呼んでいる。


懐かしい響き、愛しい声。


愛しい、なんて私……


切ないよ!涙が、止まらない。



どうし、て



「こんなにも、近くに感じるのに…!」



狂おしいほどに、懐かしい思いが込み上げる。



ああ、どうしよう、この人を悲しませちゃいけない。



私、行かなきゃ。


そう強く思った。