何も出来ずにうずくまりながらも“何か”を感じていた。 頭に浮かぶのはおぞましいあの存在。 近くに何か、ある――… 底知れぬ恐怖と怯えに震え、頭を奥へ深く埋める。 蔵は、揺れる…… 誰かの思いを示すかのように、大きく揺れていた。 「助けてぇ……お父さん、助けてっ!」 誰でもいい、この場から、連れ去って。 もはや、叫ぶしかなかった――… 私は、なぜ、 なぜ―――…? “何か”に、導かれる。