「そうなんだ。自分が百代目を継いだ時は、ぜんぜん知らなかった。おじいちゃんに予言の事を聞いた時、奈都をしっかり守ってやれって……言って…」


声が、頼りなく、揺れている。


簡単に話していいことじゃない。

死は、簡単に扱っていいわけはない。



「お父さん?」

「その次の日、死体になって……」


はっとして口に手を当てた。

震える手は、演技なんかでできるものなんかじゃない。


心では認めていた。しかし体が嘘だと、そんなの違うと、否定している。


「な、何言ってるの?もうっお父さん冗談うまいね。笑えてきちゃったよ……」

「奈都…」

「予言ー?今は平成だよ?現代社会でそんなことありえないよー、非現実なファンタジーじゃないんだから」

「奈都!」


お父さんの大きな声でびくっと肩を震わせてしまった。

普段温厚なお父さんはこんな大きな声出さない。



本気、なんだ……と悟る。



「何で?私、そんな予言なんて知らないよ?」


声が情けないくらいに掠れて、自分のものなのか分からなかった。