「佑麻。」
「っ、あ……瀬那だ。」
「…?なに、何かあったの?」
もう外はすっかり夕焼け空で、廊下の向こう側からやって来た瀬那はオレンジ色の光を浴びながら少しだけ眩しそう。
「ううん……、」
「…どうせ、お前のレベルじゃ大学に行けないって言われたんだろ。」
「っ!」
フッと笑いながら、やっぱり私の全てをお見通しな瀬那に、もう「なんで分かるの?」なんて聞く気にもならない。
でも、それだけじゃないんだよ。
それに加えて、
「就職先すら、ないかも…って。」
「ぶっ…ハハ…やべー。レベル高すぎ。」
「わ、笑い事じゃないのに!!」
私のカミングアウトに、思いっきり吹き出してくれちゃってさ。
そりゃ、瀬那からしたら私の進路なんてどうでもいいのかもしれないけど、私…このままじゃ…
「瀬那と離れ離れになっちゃう……」
私の知らない瀬那がどんどん増えて、知らないうちに2人の間にも溝ができて……
【別れ。】
ズドーーーーーンッ
「いーーーやーーーだぁぁああ!!!」
「なに1人で妄想して叫んでんだよ。ったく……俺が勉強見てやるから。すみれが丘大学なら…頑張ればお前でも入れるだろ。」
すみれが丘大学……。
確かにここら辺じゃ、少しレベルは低いかもしれないけど。