バカの日常





二人と分かれて数分。

先生と有原さんは薄暗い?ビルの隙間にいた。



ちょっと遠くて...話が聞こえずらいな...


「...........なんだからさぁ...............もっと...」


このキザなしゃべり方は先生だな。

ていうか

なに喋ってんだろう


「......がいします!もうやめて............だから...」


有原さん?

なにをやめて?

先生をやめて欲しいってこと?


「...無理だな.........」


ちらっと覗くと、先生が有原さんを壁に追い詰めていた。


ええええ!?

もうそんな展開!?

ていうか、有原さん嫌がってるんじゃ...


「やめ...っ!!」


抵抗した有原さんの手が先生の頬に当たる。


「...てめぇ...なに殴ってんだ!」

パシッ!

と音がして、有原さんの頬に
先生の平手打ちが当たった。


てか

これはダメだろ


「先生。」


あたしは言葉より先に手が出た。


バンっ!と先生の体を押して


「あんたさ、何生徒に手ぇ出してんの?それでも教師?」

「も、森崎さんっ??」


有原さんが状況を分かっていないらしく

あたしと先生を交互に見ていた。


「森崎...!!てめぇもか!!」

「名前を...気安く呼ぶなっ!!このクズ教師!!」


先生の股間あたりを思いっきり蹴りあげた。

すると先生は痛そうに立ち上がり


「この事は学校にも訴えてやるからな!!」


そう言ってヨレヨレと走っていった。


ふん!言ってみろ。正当防衛だ。

兄にいつも叩かれたり殴られたり蹴られたりしているうちにあたしも少しは強くなっているようだ。

まぁ兄には敵わないけど...


ていうか!

「有原さん!大丈夫!?」

「え、いや、私は全然...森崎さんこそ、どうしてここに?」

「あ、あたし?...通りかかった?」

「嘘...こんなところ通りかからないでしょ?」

「...」


どどどどどうしよう!???


「...じつは...」


あたしは観念して、ここに来た理由を話した。



「...そう...だったんだ。...美縁ちゃんが頼んだの?」

「うん。ほんとあいつは人使い荒いんだからさぁ.. 」

「...そうだね。でも、お礼言わなきゃ...」

「...ねぇ。有原さん、聞いていい?なんで先生と...」

「...私。浩哉のお兄さんの...健翔と付き合ってるんだけど...健翔...バイトしてたの。ほら、私たちの学校って長期休暇以外はバイト禁止でしょ?だから、その写真を撮られて..しかも、バーみたいな所だったから余計に...でね、その写真を健翔が受けるはずの大学に送り付けて、受けれなくしてやろうかって...脅されちゃって、そんな事させたくなくて...やめてくださいって頼んだら、お前が俺と付き合ったらなって...」


はぁ??

なにそれ...

「あんのクズ教師...!!もう1発殴ればよかった!!」

「だ、ダメだよ!そんなことより、殴っちゃってよかったの?下手したら退学になるかも...」

「あぁ...それはないよ!正当防衛だって言って逃げ切るから!!」

そう言って笑うと

「ふふ...ほんとに勇気があるなぁ...だから好きになるはずだ...」


ん?

「なんて言った?」

「あ、ううん!何でもないよ!」

「そう?じゃあ帰ろうか!」

「うん!!」

よかった...元気になったみたい...


「あ!!それと、あたしのこと、森崎さんじゃなくて...由樹って呼んで!」

「え...うん!私の事も香恵って呼んでね!」

「うん!」


こうして、あたしと香恵は

友達になったのだ。