キミ限定



「じゃ、そういう事でよろしくお願いしますね、その子」


笑顔で手を振り去って行く佐季。


あげく頭の上で「はい、もちろん」なんて返事が聞こえて。


いやいや当事者の私がまだ何にも言ってないんだけど。



ぽつんと残されてしまった私と黒髪ボーイ。


駅までの道を見事に無言で歩き抜き、なんの縁か同じ方向の電車らしくこんな時に限って人気のないホームに二人で佇む私たち。


なにこれどうすりゃ良いんだこの状況…!


私の中の私が心の中で力の限り叫んでいると。



「郁先輩…」

「な、ななななっ何でございましょう?!」



うわー、急に名前で呼ばれてしまい挙動不審な態度をとってしまった。

そんな私を見て彼はくすりと笑う。